育成会について

第58回九州地区手をつなぐ育成会北九州大会

第58回 九州地区手をつなぐ育成会北九州大会を開催

障害のある人の権利擁護 取り組みさらに

 8月25日、ウェルとばたで「障害のある人たちが安心して暮らせる環境をつくっていこう さらに進めよう障害と障害のある人への理解啓発を」をスローガンに、第58回九州地区手をつなぐ育成会北九州大会が開催されました。1日のみの日程でしたが、九州各地から約650人の会員、関係者等が参加して活発な議論を行い盛会でした。

 式典では、冒頭に服部栄子九州地区手をつなぐ育成会連絡協議会会長が、「28年に障害者差別解消法が施行され、この4月から障害者総合支援法の改正により障害者の地域での暮らしを支える仕組み作りが始まりました。これらの法制度は、障害のある人もそうでない人も共に生きる社会を目指していますが、差別や人権侵害はなくならず、私たちの切なる思いを社会に啓発していく必要性を強く感じます。」と挨拶しました。

 次に、久保厚子全国手をつなぐ育成会連合会会長は挨拶の中で、「本大会はこれからの育成会運動につながる重要な大会です。有意義な研鑚の場となるよう期待しています。」と述べました。続いて服部誠太郎福岡県副知事、北橋健治北九州市長、井上秀作北九州市議会議長、城井崇衆議院議員、田村貴昭衆議院議員が祝辞を述べ、式典を終えました。

 続いて、田中正博全日本手をつなぐ育成会連合会統括が中央情勢報告を行い、4月からの新たな制度の施行を見据えて身近な自治体である県・市町村への働きかけを行うと共に、今後の育成会活動の方向性について話しました。

 次の、野沢和弘毎日新聞論説委員による「障害者の権利擁護」をテーマにした基調講演では、現在、マスコミでも報道されている「優生保護と障害者への強制不妊手術」について触れ、これまでの歴史の中で多くの知的障害者が人権侵害を受けてきたが、言葉のない重度の知的障害者も豊かな感性や内面世界を持っているという事を、社会に発信していく重要さを力強く語りました。

 午後は、4つの分科会で障害のある人の直面する諸課題について活発な議論を行いました。(2面に関連記事を掲載)

 分科会終了後、全体会閉会式を行い、障害のある人が、安心して地域で暮らせる環境づくりに邁進するという大会決議を採択。終わりに、次期開催地である熊本県手をつなぐ育成会が挨拶をして大会を閉会しました。

 尚、長年の育成会活動の功績が讃えられ北九州市育成会より甲斐千代さんが九州大会表彰、都甲摩岐子さん、樋口千春さんが県大会表彰を受賞しました。

 

 式典

 

 

  

第58回 九州地区手をつなぐ育成会北九州大会

各分科会の報告

 

第1分科会

【日中活動】をテーマに、①放課後等デイサービスの現状と課題(発表:佐賀県)②アート創作活動の取り組み(発表:熊本県、宮崎県)③高齢化への対応(発表:大分県)の内容で行われました。

 現放課後等デイサービスが、本年4月の基本報酬の改定を機に、「授業の終了後や休日に、生活能力向上のための必要訓練や社会との交流の促進その他必要な支援を行う」という創設時の目的に即したものであるかを、今一度考える必要がある。又、障害者のアート創作活動では、自身の思いを表現した作品が名刺のロゴマークやティーパックの包装に使われ、障害者芸術の将来性や広がりを感じている等の、支援者の篤い思いが発表されました。

 

第2分科会

【働く】をテーマに考えました。

《沖縄県》 ①基地問題と仕事も平均収入も少ない県ならではの工夫と、販売活動におけるそれぞれの「関わり方」について発表。

《北九州市》②カフェ事業は、利益はないが社会貢献的なところが大きい事業として提供されている。また農福連携の新しい事業の取り組みも紹介。

《長崎県》 ③就労支援システムについて目標とプロセスが大切で、ジョブコーチによる細やかな支援の事例を発表。

 質問票も10人の方から頂き、丁寧な、中身の濃い時間でした。

 最後に、終了後ではありましたがコーディネーターの田中寛氏より「どんな場面にも支援者側のメンタルが強くないとサービスは続かない。研修が必要だ。」と、アンガーマネージメント(怒りの感情をコントロールする方法)の学習を取り込む事業所が増えていると助言がありました。

 

第3分科会

 テーマは、【権利擁護運動】①親亡き後に備える、②育成会としての取り組み、③差別解消条例と市民啓発の取り組み、についてそれぞれ鹿児島県、福岡県、福岡市が発表しました。

 親亡き後を担っていく次世代の人たちを育てていくことが大事。九州大会に兄弟がもっと参加を。育成会活動はとにかく続けること、若い世代にバトンを繋いでいくこと。差別解消条例を作っても差別がなくなるわけではない、ツールを手に入れただけのこと。啓発活動は分かりやすく、楽しく。重要なのは幼少期から正しい人権感覚を身に付けること。

 コーディネーターの野沢和弘さんは、「育成会が先頭に立って知的障害者の権利擁護を進めるべき」と助言。多くの参加者がこの言葉に背中を押された分科会でした。

 

 

 

第4分科会【本人部会】

 本人部会では、前半は「自分らしく自由に決めたこと」をテーマに、8県2政令市の10人が誇らしく体験を発表しました。(原稿を事前に準備)

 後半の「知る見るプログラム」では、6人15グループに分かれて(保護者や付き添いは後ろの席)、挑戦したいこと、気持ちや力が自分の中にあることを発見し上手くいく方法を考えることを目標に「チャレンジワーク」を実施しました。

 進行担当のスタッフ(法人育成会 当事者活動委員会委員)は、2月からプログラムを実際にやってみて、どうしたら運営できるか備えてきました。委員は、考えを誘導しないよう気を付け、会場を巡回しながら見守り、分からないとき、困ったときに聞いてもらい、入るようにしました。時間がなく2グループだけでしたが、「自転車でどこまでも行きたい」「ヤフードームに一人で行きたい」と生き生きした発表ができました。

 

カテゴリー:その他

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