育成会について

障害児者を持つ家族支援セミナー

育成会が「家族支援」で初のセミナー/相談支援など3分野で提言

 

 育成会(親の会)主催の「障害児者を持つ家族支援セミナー」が11月27日、戸畑区の「ウエルとばた」で初めて開催され、育成会がまとめた提言が報告された。関心の深いテーマだけに会員をはじめ関係者が参加し、意見交換を行った。

 

 

 北九州市育成会では昨年12月、「家族支援を考える会」を立ち上げ、ワークショップ形式で家族支援の歴史や制度、さらには今後の在り方等について検討を重ねてきた。日本の障害者福祉は家族の負担の上に成り立っており、家族も一人の人としての望ましい人生を全うするには支援の負担を軽減すべきとの考えから相談支援、障害当事者(本人)の自立促進、さらには「親なき後」も含めた家族への支援などについて幅広く検討した。期間は約半年間。8回のワークショップと5回の事前学習を久留米大学・門田光司教授のコーディネートの下でこなした。

 こうした検討を踏まえ、相談支援、特別支援教育、「親なき後」も含めた本人の自立支援の3分野での提言がまとめられた。このうち相談支援では「切れ目のない支援体制の確立」を目標に、これまでの福祉、教育など関係機関との連携に加え、医療機関との連携が強く打ち出された。また、特別支援教育の関係では、キャリア教育や生活技能習得のための教育の充実と合わせ、個別の教育及び指導における教師と親との連携作業の必要性が提言された。一方、「親なき後」も含めた本人たちへの支援では、緊急時の支援のほか、レスパイト、ホームヘルプ、相談支援体制、余暇活動等の充実とともに、成人・高齢期におけるグループホームの支援体制の確立を主張している。さらに、「親なき後」の支援では、住まいの場の確保、ホームヘルプサービスの充実、成年後見制度の利用促進等を求めているほか、本人たちの終の棲家や看取りの課題等を行政の障害者基本計画に盛り込むよう提言している。

 この日のセミナーでは、門田教授が今回の提言の背景を、北原守会長が提言の実現に向けた取り組みを、さらには久森栄子副会長が提言の要旨を説明した後、「考える会」に参加した二人の女性会員が家族支援に関する自らの体験を報告した。参加者からは、成年後見制度の利用促進に関する質問が出されたほか、今後の活動にも期待が寄せられた。

 育成会では今後も、提言の実現を行政に働きかけるとともに、最大の関心事である「親亡き後」の支援については今後も検討を重ねる。併せて、本人たちの自立に向けた家族自身の在り方についても議論を続けることにしている。

 

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家族支援の在り方で報告する門田教授

カテゴリー:その他

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